よもや真話

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2016年01月

岡山大学には、岡山大学病院を「地域医療連携推進法人」化し地域医療ネットワークを構築する「岡山大学メディカルセンター」構想があるらしい。http://mainichi.jp/articles/20151211/ddl/k33/040/554000c

岡山大学
の不正対応の問題は構図的には理研とそっくりだ。
「特定国立研究開発法人」のためにSTAP細胞論文の不正問題を大急ぎでテキトーに処理してお茶を濁そうとした理研では、「正義の有志」が立ち上がり、アカデミアからは「不正の実態を明らかにせよ!」と「声明」まで出して大騒ぎをしたが、「地域医療連携推進法人」のために不正問題を揉み消そうとした岡山大学では、「ふたりの教授」が立ち上がったものの、アカデミアからは無視され大学からは解雇されてしまった。

構図としてまるで瓜二つなのに、アカデミアもマスコミも正反対の反応になっている。まあ、マスコミが「権威のお言葉」の拡声器でしかないことは、STAP騒動でも明らかだったし、片瀬久美子氏のツイートでも裏付けられてはいるのだが。また、今月3日に毎日新聞が記事にした「不正調査の問題点」は細かい話でしかなく、岡山大学の問題は近視眼的な科学記者よりも社会部記者が扱った方が良い問題だろう。
片瀬氏の場合はSTAPの時と同じスタンスで行動に一貫性があるので、近視眼なりに信念を貫いていただければ良いのだが、某男性ライターのようにiMuSC細胞論文が意味することについて自分の頭で考えることもなく、著名な科学者のネット証言を継ぎ接ぎしたような「権威のお言葉の受け売り」しか出来ない中途半端な科学ジャーナリストの存在価値はやっぱりないだろう。不正告発者が解雇されても無視し続けている「学会の偉い先生」達の存在も。日本のアカデミアと科学報道は一蓮托生で壊れている。

STAP問題では『日本を代表する研究機関である理研で起きた前代未聞の研究不正の解明にあたり、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複数名いることは、理研にとって大きな救いである。』とまで褒め称えた理研改革委員会の先生達は、いまどうしてるのだろうか。
STAP騒動の際、理研は自主的に不正調査に乗り出した有志達の研究環境を破壊するような不当なことは全くやっていなかったと思われる。逆にCDB解体を提言し、彼らの研究環境を破壊しようとしたのは国立大学の教授達で構成されていた理研改革委員会の方だ。
一方、岡山大学では不正調査に乗り出したふたりの教授達の研究環境は完全に破壊されまった。STAP騒動であれだけ騒いだ人達は、森山・榎本両教授の「勇気ある行動」に対して見て見ぬふりを続けている。というよりも、両教授の「真相と科学的真実の解明のための勇気ある行動」は、国立大学法人にとっては邪魔臭いだけの存在なのかも知れない。


今回の問題がここまで拗れたのは、STAP騒動で不正論文=研究犯罪というイメージで大変なバッシングが起きたことも要因のひとつなのかも知れない。森山教授らのスクリーニングで発覚した細かい疑義に対して、指摘された側が不正批判の恐ろしさに完全否定で逃げようとした的な何かがあったのかも知れない。

STAP
騒動の際に、不正論文=研究犯罪的な世間のイメージを煽って炎上させたのは、サイエンスライター片瀬久美子氏だったり、科学雑誌「日経サイエンス」編集部の古田彩氏だったり、中山敬一氏、大隅典子氏、近藤滋氏ら日本分子生物学会理事達だったりする。なんせ「詐欺師の持ってきたデータ」呼ばわりなのだから。
石井調査委員会の記者会見後しばらく私は「科学語は正しく日本語に翻訳されなければならない」という主張をしていた。石井調査委員会の不正認定で使用された「捏造」と「改竄」という言葉が、調査委員会から具体的内容を説明された行為に対する日本語として正しくないからだ。論文の体裁上の問題と研究犯罪としての不正問題を分けることなく「不正は不正」として同じ扱いをされた結果、2014年4月1日の理研の公式発表で小保方晴子氏は「捏造犯」とされてしまった。

科学者達が批判するマスコミは、NHK藤原淳登記者だったり毎日新聞須田桃子記者だったりという科学専門記者が「権威のお言葉の拡声器」の役割を果たしているに過ぎない。更に陰からリークしまくる放火魔までいれば尚のことだ。権威のお言葉によってSTAP騒動の狂乱が巻き起こり、大変なバッシングを引き起こしてしまったのだ。そして、日本分子生物学会理事ら生命科学の専門家達は、業界の清廉を装うために小保方氏の研究成果すべてを捏造の産物と決めつけ、故笹井芳樹博士が「STAP現象を前提としないと説明できないデータがある」と言い、理研内外で予断のない検証をすべき「合理性の高い仮説」であると訴えたSTAP細胞研究を叩き潰してしまった。



STAP細胞論文に対する理研の拙速な不正対応が引き起こした悲劇を見て、私はこういった不正問題の対策には「第三者機関の設置」が急務だと安易に考えていたのだが、それは即ち「大学の自治」を放棄することだと指摘されて、言われてみればそうだなと気付いた。しかし、岡山大学のような事態を招かないためにも、大学の自治など放棄して不正問題に対応する公的機関を設置する必要はありそうだ。ただしその場合、その運営資金はどこから出るかと言えば、科学予算の枠内なので「アカデミアの人たちに配られるはずだった研究費を削って捻り出す」ことになる。当然、公的機関を設置するとなれば不正まみれの生命科学系の予算を削って捻出するのが筋だろう。科学予算とは別枠で公正取引委員会みたいなのをという考えは図々しい。基本的に業界内で処理すべき問題なのだから。

結局、理研にしろ岡山大学にしろ、こうした事態になってしまっているのは「学者さんには統治能力がない」ことが主な原因ではないかとやはり思ってしまう。理研と岡山大の問題の教訓としては「科学者に政治的な力を持たせてはいけない」ということだろう。理研や岡山大学で
ガバナンスが機能せず学問の自由が脅かされているのは理系学者が権力を持ったせいだと私は思う。博士論文の不正問題が指摘された早稲田のように、学長が法学系ならこんな事態になる訳がない。
ちなみに、再生医療で最先端を目指すハーバード幹細胞研究所の所長は、学者さんではなくMBAを取得しているビジネスマンだ。http://hsci.harvard.edu/people/brock-reeve-mphil-mba

こういった流れの末に、日本の科学を取り巻く環境は、学生や研究者が落ち着いて研究に専念することが出来ない状況になって来ているように思えるが、これは結局、学界の偉い先生達が自分で自分の首を絞めてしまったことなのだ。STAP騒動で生命科学分野の構造的な問題が表面化してしまった今となっては、本気で研究の道に進みたい若者にとって、日本のアカデミアは自分の将来を賭けたいとはとても思えるような所ではない。研究者を目指す頭の良い若者達が選ぶ進路は日本ではないのだろう。

森山・榎本両教授に対する岡山
大学の仕打ちに今さらになって「なんとかしないといけない」と声を挙げている大学の先生達は、今まさに研究環境を奪われている人達を研究室ごと自分の大学で引き受ける位のことをやれば良いのにと私は思う。「裁判所に任せるしかないのか?」などと悠長なことを言ってないで。

岡山大学で研究不正を告発した教授ふたりが解雇された問題が、いまネット上で話題になっている。

この問題は、20142月に週刊誌で報道されたことに端を発して、STAP騒動真っ只中に起こっていた問題で、完全にSTAP騒動の狂乱の陰に隠れてしまっていた上、20149月には批判サイトが立ち上がっているものの、かなり偏った言い分のため世論の賛同を得ることも難しく、告発者の救済に資することはないまま現在に至っている。
サイエンスライターの片瀬久美子氏は、昨年の後半からこの問題を取り上げ、その流れを受けて研究者の中からも岡山大学の対応を問題視する記事も見られるようになった。

「岡山大学の問題は、全国の大学が抱えている問題か?」2015/09/21
http://blog.livedoor.jp/pyridoxal_phosphate/archives/43635210.html
「岡山大学の良識を問う 」2015/12/07
http://blog.livedoor.jp/pyridoxal_phosphate/archives/49692159.html

しかし、STAP問題ではあれほど大騒ぎしたマスコミや科学界からはこれといった声も挙がらないまま、昨年末にはとうとう不正告発者が解雇されるという事態にまで発展してしまった。
森山・榎本両教授の解雇が決定した今年になってから、1月3日には毎日新聞が不正調査の問題点を指摘する記事を出したが、今頃になって言い出しても手遅れ感しか感じない。112日には、告発者の森山教授と、解雇を発表した岡山大学が同じ日に記者会見を開き、NHK岡山放送局毎日新聞などが報道したが、STAP報道ではリークというエサを貰ってスクープ報道しまくっていたマスコミも、取材対象が積極的にエサを撒いてくれなければ何も報道できないという取材力のなさを見た思いがする。(いま確認したらNHKはリンク切れで記事が見つからない)


『半年前、ある記者に岡山大学の件を記事にできないか相談した時、「STAPの時の様に主要な大学の先生方が問題視する声を上げてないから、記事にするのは難しいですね」と言われてスルーされました。』
https://twitter.com/kumikokatase/status/686048913011286019

これは110日の片瀬久美子氏のツイートだが、マスコミがこういった問題を記事にするには「主要な大学の先生が問題視」しているかどうかが判断基準のようだ。「権威のお言葉」がなければマスコミ自身では判断できないということらしい。そして、STAP問題ではあれだけ大騒ぎした中山敬一氏も大隅典子氏も近藤滋氏も、不正告発者が解雇されてしまう事態になった岡山大学の問題は「問題視していない」ということになるのだろう。アカデミアもジャーナリズムもなにも機能してないではないか。

NHKの記事削除も理由が気になるところだ。確か大学側に大きな問題があるという印象を与えるものだったと記憶しているが、誤報だったのか書き方が誘導的だと揉み消されたのか。ミスリードも駄目だが、理由も告げずに削除して「なかったこと」にするのも問題だろう。NHK科学文化部のツイッター・ブログでも不正告発者が解雇され大学を提訴している件について一切触れていない。両者の言い分の食い違いについて事実確認が出来ないため、迂闊なことが言えないということなのかもしれないが、記者会見まで開いて公表されている「不正告発者が解雇され大学を提訴しているという事実」さえ報道出来ないとは、マスコミの無能さもここまで酷いとは思わなかった。

ところで、問題の発端となった「週刊ポスト」の記事を書いた伊藤博敏記者は、経済事件を得意としているフリージャーナリストのようで、医療やアカデミアとは縁遠い人のように見える。森山教授とこの記者がどういう形で繋がったのか不明だが、学問的な正義でもなく、学内権力闘争の問題でもない、別の理由から「不正告発」をしようとした勢力がいて引き合わせたのではないかという気もする。扇情的な支援から受ける印象でしかないが、森山教授を神輿に担いだ人の中に、不純な動機を持つ人があるようにも感じる。
問題がここまで拗れてしまったのは、この辺のやり方に問題があったからなのかも知れない。

いずれにせよ、不正告発が原因で研究環境を奪われてしまった森山・榎本両教授と学生達は、いままさに大変困難な状況下に置かれている。不正告発者が解雇される事態に至るまで、アカデミアは知らん顔をし続けていた。いまさら『研究不正の指摘を理由に大学を解雇されるのであれば、誰も不正の摘発はできなくなる。なんとかしないといけない』と言われても鼻白むばかりだ。
https://twitter.com/turingpattern/status/687129917507506176

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