STAP問題に関して、石井委員長の下での理研の最初の調査委員会が間違っていたことは多くの人達の共通認識だろう。
理研がサンプル調査もせず、STAP研究そのものに関する根本的な部分をウヤムヤにして、論文の体裁上の問題で幕引きを図ろうとしたことに科学コミュニティもマスコミも大反発した。一方の小保方氏を擁護する立場からは、小保方氏の言い分に聞く耳を持たず一方的な決め付けで、再現実験も含めて再調査の権利も与えないことに対する批判が起こった。 理研は理研でSTAP論文は捏造だったと結論しながら、本人を除いたメンバーでSTAPを検証するという訳の分からない行動に出た。
この理研本部の動きには、この問題をさっさと終わらせて次へ進もうとする意図がアリアリと見える。そして、この迷走した動きには特定法人指定に絡む政治的意図と圧力が影響したことは想像に難くない。結局、これが原因でSTAP問題は拗れ続けて遂には死者まで出してしまった訳だが、その元凶は理研の理事達であることは間違いない。

STAP
騒動は、理研の対応が迷走する中、大隅典子理事長を筆頭に分子生物学会理事達が適正手続きそっちのけで「実験阻止」の圧力をかけるという、これまたまったく公正さを欠いた形でものごとが進んでいき、NHKを筆頭に科学分野に強いメディアは権威を鵜呑みにした報道を続けていくことになる。そういう意味で、大隅典子氏は理研の迷走に脇から銃を乱射してこの問題を引っ掻き回した重大な戦犯だと私は思っている。
このように、迷走する理研に向けたつもりがあらぬ方向に批判の銃を乱射する科学者達とメディアがタッグを組んで一方的な流れが出来たのだが、そんな中で「本人の手による再現実験」という至極まっとうな主張を展開したのが一研究者・教育者の意見というブログだった。しかし、viewにおいては小保方まっ黒の心証をお持ちのようなので理研改革委員会の、議論の前提に証明されない決め付けを置いた一方的過ぎる論理を問題とは思わなかった様子。
そういう中で小保方氏は、理研認定の「捏造犯」の札を下げ、理研の首輪は繋がったまま道端に放り出され、
3ヶ月以上も袋叩きに遭った挙句、完全に犯罪者扱いで「さあ、ご希望に通り再現実験の場所を用意したのであなた自身の手で証明して見せなさい。」となったのだ。

こうした科学者社会の行いを目にした大衆の間に、小保方氏に対する同情と共に陰謀論が跋扈してしまうのも自然の成り行きで、このデタラメさはすべて科学者たちの責任ではないかと私は思う。陰謀論やデマやニセ科学などが勢いづくのも、マスコミや無知な大衆の責任ではなく、ひとえに正義の側に立つ科学者達の傲慢さが招いた結果と言える。
小保方氏らに対する過剰なバッシングも、マスコミが扇動しているのでもネットの匿名連中が引き起こしているのでもなく、その本質は科学者達の暴力的な決め付けにある。マスコミもネットの匿名連中も権威の尻馬に乗ってお祭り騒ぎをしていたに過ぎない。



STAP
を巡る基本的な構図としては「若山氏を神輿に担いだ正義の有志」vs「祭り上げた小保方氏をさっさと切り捨て欲と保身に走った理研」といった基本形があり、そこに異物として放り出された小保方氏が転がっていて、笹井氏は八方からの板ばさみ状態にあった。

そして、若山氏を神輿に乗せた正義の有志にマスコミが完全に同調してしまったために、一方的で苛烈なバッシングが巻き起こってしまったことが、何よりの不幸だったと私は思っている。NHKは理研有志を情報源とするリーク報道を続け、毎日新聞は若山氏周辺を情報源とするリーク報道を続けた。こうして有志達によるSTAPを巡る聖戦は、「若山氏を神輿に担いだ正義の有志」vs「祭り上げた小保方氏をさっさと切り捨て欲と保身に走った理研」の構図を取りながら、科学報道では飛びぬけて影響力のあるNHKの実際の攻撃目標は間に挟まっていた笹井氏個人や、外側に放り出されている小保方氏に対する批判に集中してしまったのだ。NHKの次に報道量の多かった毎日新聞は、あくまで基本構図を外れることはなかったが、視点がやはり「正義の有志」と共にあったためバランスを失っていた。そういう一方的な報道を受け、世間では小保方批判派と小保方擁護派という形に分かれて行った。これを単純化すると正義を支持する小保方批判派と権威を疑う小保方擁護派という図式が出来上がっているのだ。

こういうマスコミ報道と世間の騒ぎの後押しもあり、科学界のSTAP研究そのものに対する視点は完全に公平性をなくしてしまった。改革委員会で、研究不正疑惑の当事者である若山氏の見解が不正追及側の参考意見として扱われるというのはどう考えてもおかしな話だろう。(改革委員会のデタラメさについてはこちらで詳しく論証されている)別に若山氏が何かをしたというわけではなく、彼は不正を糾そうとする科学界の中で、なにやら正義の象徴のように扱われていて、このバランスの悪さは真実の結果を得るには致命的だろう。更に副作用として若山氏に対し筋違いな悪意を向ける人達も現れるという反動も招いている。

この問題の元凶である理研の理事達はしっかり責任を取るべきだが、私は野依理事長ら戦犯を裁いただけは何も解決することはないと思う。直接にも間接的にもこの問題に関った科学者達は、この騒動で何が起きたのか、自分達がいったい何をしたのか、自分達の言動が社会にどんな影響を与えたのか、振り返る必要があるだろう。


*2月12日加筆修正