よもや真話

気になるニュースのことなどをダラダラと

STAP騒動の不幸は、kahoの日記「STAP細胞など存在しない」のレポートと、大隅典子日本分子生物学会前理事長のブログ「仙台通信」でまことしやかに噂された「杯様体」説が、NHK藤原淳登記者など科学記者達に「STAP細胞はES細胞に間違いない」という確信を与えてしまったことだろう。

先般、海外の研究チームから「STAP現象」と同様のものが報告されたというネット情報を見て、やはり遠藤氏の仮説は間違っていた可能性が高いと改めて感じている。ただ、遠藤氏がアクロシンとトリソミーで「STAP細胞など存在せず、あれはES細胞に違いない」と確信していたこと自体は、自分の仮説を確信するというのは研究者に良くあることだろうから、責められるべきことではないとも思っている。

想像するに、遠藤氏は論文のデータにSTAP細胞で使われるはずのないおかしなものを発見し、自分の仮説を著者らに突きつけたとき納得のいく回答が返ってこずに、笹井氏からは「もう少し慎重に調べなければならない。今は公表すべきではない」などの回答があったのだろう。それに業を煮やした遠藤氏が「kahoの日記」を始めて、社会に訴え始めたのだろう(この件について私は「公益通報に”類する”もの」という評価を一応している)。しかし、これは不正揉み消しなどではなく、単に「自分の見解を上司に一蹴されただけ」という見方も出来るだろう。

そして、この流れは若山氏の論文撤回呼びかけへと繋がっている。若山氏も、データにおかしなものがあり、「信じられなくなった」ということで、共著者に論文撤回を呼びかけるところまでは理解できる行動だ。

しかし、ここからが問題なのだが、若山氏はいきなりマスコミの前に出るのではなく、笹井氏らとしっかり話し合うべきではなかったか。なぜ若山氏は話し合いもせず逃げ出したのだろう。遠藤氏の仮説もまるで「真実」であるかのごとく流布させるのではなく、学会内部で慎重に検討されるべきものではなかったか。

ところがそうならなかったのは、遠藤氏と若山氏を神輿に担いだ人たちがいるからだ。以前から批判している日本分子生物学会理事長以下理事達や、遠藤氏の後ろ盾となった理研内部の人達の責任が大きい。彼らは、遠藤氏の仮説を無批判に支持して、若山氏の言い分を丸ごと鵜呑みにして、学界の権威の立場からSTAP潰しに向かう発言を繰り広げた。

マスコミもすっかりそれに同調して、リーク報道合戦。あまりに出鱈目すぎやしないだろうか。
STAP細胞など存在しないのですから」から始まったこの狂乱は、論文著者達の周りで何が起こっていたのか最初から見直されなければならないだろう。

そして今、科学者がやるべきことは、「あれは本当にES細胞だったのか」ということを見直すことであり、
マスコミがやるべきことは、小保方氏に「絶対にSTAP細胞を再現してください」と言い残して亡くなった笹井氏が「真偽の判断には理研内外の予断ない再現検証が必要である」と言っていた「STAP現象」と同じものが海外の研究チームから報告されているということを報道することだ。

東京オリンピックのエンブレムが、盗作疑惑でネットのお祭り騒ぎの末に佐野研二郎氏のデザインが使用中止となった問題で、この騒ぎがSTAP問題と同じだという声を見かけるが、キャラの立つ個人がマスコミとネットイナゴの餌食になっている点では同じだが、構図として両者はかなり違う。

エンブレム問題はマスコミとネットイナゴの襲来という「良くあるパターン」に対して、危機管理の甘い組織委員会の対応と、業界が佐野氏を守ろうとしたことで火に油を注いだ。デザインというのは「イメージ産業」であるのに、イメージ的に大衆から拒絶されてしまったものを、理屈で(しかも「素人には分からない」的な上から目線で)返そうとした組織委員会の愚かさは、理研の逃げ方とは対照的だ。


STAP
問題はマスコミとネットイナゴの襲来という「良くあるパターン」に対して、危機管理の甘い理研の対応があっただけでなく、業界がマスコミとネットイナゴと一体化して襲い掛かるという、他に類を見ない異常さがあった。科学の問題でありながら「善玉・悪玉」的なイメージが横行し、マスコミを利用した理研の逃げ方にも狡猾さが光っていて、大会組織委員会のダメっぷりとは対照的だ。

佐野氏はいま世間からの猛烈なバッシングを受け大変な状況にあるが、業界から見捨てられてはいないようなので、自殺といった最悪の事態にまで至ることはないだろう。STAP騒動で死者まで出てしまったのは、マスコミとネットイナゴと一緒になって、というより先頭に立って襲い掛かった専門家達の出鱈目さが最大の原因で、その時とは状況は大きく異なる。しかし、もしここで同業者で庇ってくれる人をなくして孤立無援になってしまったら笹井氏と同じことにもなりかねない。そんなことになってしまう前に、この騒動が治まることを願っている。デザイナー個人を責め立てても何一つ解決するものでもなく、もっと冷静に構造的な問題についての議論に立ち返ることが望まれる。

それにしても、感情に任せて思い込みで個人を追い詰める正義の恐ろしさに、大騒ぎしている人達はなぜ気付くことが出来ないのだろう。教育評論家の尾木直樹氏なども、しばしば自身のブログでニュースを賑わす「悪者」に焦点を当て、不確かな情報を基に思い込みで「悪者」を吊るし上げ非難するのを度々目にするが、こういう人がイジメ問題を語る様子は一体なんの冗談なのかと思ってしまう。ああいう風に感情に任せて正義の旗を振る者がいて、それに便乗して後ろで煽る者がいて、訳も分からず祭りに踊る者がいて。ネット社会における正義の暴走は誰にも止めることが出来ない恐ろしさがある。

NHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」について、「人権侵害の限りを尽くした」とする小保方晴子氏からの申し立てに、BPO放送人権委員会は審理入りすることを明らかにした。http://www.bpo.gr.jp/?p=8254&meta_key=2015
まさに「人権侵害の限りを尽くした」NHKの報道姿勢について、BPOは厳しく追及して行って欲しい。
NHK側は、この小保方氏からの人権侵害申立に対してこう反論している。

 「本件番組は、申立人がES細胞を盗み出したなどと一切断定していない」としたうえで、「今回の番組は、世界的な関心を集めていた『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、2000ページ近くにおよぶ資料や100人を超える研究者、関係者の取材に基づき、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」と反論した。

「盗んだと断定しない」ように「表現に配慮」したものだから人権侵害ではないと言いたいのか。

NHK
スペシャルが放送された翌日、元NHK職員でネットやマスメディアでも論客として大きな影響力を持つ池田信夫氏は「なぜ小保方氏はES細胞を盗んだのか」というブログ記事を書いており、問題の場面についてこう述べている。

 STAP
細胞と称するサンプルのDNAが若山研究室のES細胞と同一で、彼女の研究室の冷凍庫にも同じES細胞があった。ここまでは既報だが、そのES細胞をどこから入手したのかが問題だ。この番組では、元留学生が電話で「私は渡していない。驚いた」と話していた。
 これだけでは決め手にならないが、彼女の冷凍庫にあったES細胞が若山研究室のもので、誰もそれを渡していないとすれば、彼女が盗んだと考えるしかない。

実名でここまで「正直」に書いた人はあまりいないが、テレビ視聴者の「印象」としては大方こう受け止められていると言って良いだろう。事実、ネット上では「盗んだ」ことがまるで「事実」であるかのように流布していったわけで、元理研研究員の石川智久氏は「小保方氏が名声や安定した収入を得るため、STAP論文共著者の若山照彦教授の研究室からES細胞を無断で盗み出した」として刑事告発をした。(警察はその告発状は受理せず、被疑者不詳の窃盗事件として捜査)

この「風評」の原因がNHKスペシャルであることは疑いようがなく、「断定していない」という言い訳は通用するはずがない。番組放送と人権侵害の因果関係は明白であり、番組制作関係者の責任は極めて重大だ。

この「泥棒呼ばわり」については、小保方氏は両氏に対して名誉毀損で告訴する可能性もあると私は思っている。
裁判になった場合、池田信夫氏は「泥棒呼ばわり」の根拠としてNHKスペシャルの放送内容を挙げることになるだろう。すると司法によって番組制作の正当性が問われる可能性もあり、そこからNHKの不正が暴かれることになるかもしれない。一方、石川氏の場合は「泥棒呼ばわり」の根拠として「証言者」がいるはずで、それも司法によって暴かれることになるかもしれない。

BPO
の審理入りは、窃盗事件の捜査と合わせてSTAP事件全体の真相解明に近づく第一歩なのかもしれない。

 STAP細胞に関する研究不正問題に対する科学者社会の対応が滅茶苦茶であることは以前から指摘してきたが、その原因として、この問題が最初から科学の世界の枠を超えていることに科学者達が無自覚過ぎたことがあるだろう。STAP問題は昨年1月末に理研が開いた記者発表直後に社会現象化していた。そんな中で論文に多くの疑義が指摘され、日本社会全体を巻き込んだ大スキャンダルになっていたのだ。ところが、そういう中で「科学のルール」を大上段に構え、当事者達の人権も蔑ろにするような人々が「専門家」の中に数多く存在していたことが事態を悪化させてしまった。

 そもそも疑義の早い段階から、理研横浜の遠藤高帆氏が当事匿名の内部告発者として「
STAP細胞など存在しない」とネットを通じ広く社会に向けて発信し、論文を読んだ科学者達の間でも研究自体が捏造ではないかと疑われていたが、そうした問題に対して、不正調査は科学的手続きに基づき粛々となされるべきという建前をかざしながら、個人の人格にまで踏み込む発言を繰り返すという呆れるほどの多重基準で、マスコミやネットを通じて社会に向けて情報発信し続けたのが科学クラスタだった。その一方で、世間からの「STAP細胞はあるのかないのか」といった声を科学的ではないと切り捨てるという彼らの出鱈目さには本当に呆れる他はない。「STAP細胞がある」という著者が居て、「STAP細胞は存在しない」と言う内部告発者がいたら、世間が「STAP細胞はあるのかないのか」の話になるのは当たり前の話ではないか。

 STAP
問題が拗れたのは、もちろん派手な広報で世間の大注目を集めた論文に多数の疑義が出された時の理研の対応の拙さのせいであり、石井調査委員会が下した本丸を避けた不正認定のせいだろう。研究そのものが捏造だったのではないかと疑われたものに対して、調査委員会は図表に捏造・改竄があるといった論文の体裁上の問題で不正認定をして幕引きを図ろうとした。これは裁判で言えば殺人が行われた疑いがあるのに、器物損壊罪で起訴して判決を下してしまったようなもので、殺人の疑いがあるのなら最初から殺人罪で起訴しなければならなかった。不正調査に対する当事の「STAP細胞はあるのかないのかの圧力」は、科学コミュニティも、マスコミも、世間も、被告人も誰一人納得することのない間違った裁判のせいだ。そして被告人は有罪判決を受けた器物損壊の件で理研と争っていたのに、周りは起訴されなかった殺人容疑で理研と被告を責め立てた。

 本来、こんないい加減な裁判が行われた場合には、高裁により一審判決は破棄され審理は差し戻されなければならない。差し戻しとは即ち「再調査」である。本来なら差し戻して再調査(再現実験を含む)をしなければならなかったのに、分子生物学会理事長を筆頭に科学者達は総出であらぬ方向に向かっていった。理研が行った裁判自体を不服としている被告人の言い分をまるで無視して、頭から有罪と決め付けた被告人を処罰するためにもっと重大な殺人罪を審理せよと理研に詰め寄ったのだ。そうして小保方氏の不服申し立ては問答無用で却下され、仕切り直して再調査という本来あるべき形に向かうことは出来なくなった。こうやって「日本分子生物学会理事長」大隅典子氏を筆頭とした科学コミュニティは、理研の対応に対して脇から銃を乱射し続け事態を引っ掻き回した。
 理研の迷走に拍車をかけたのは世間でも政治家でもなく、科学コミュニティの方なのだ。そして、理研改革委員会も同じく一審の被告人有罪判決を支持した上で、一審の審理が不十分だという訳の分からぬ二審判決を下した。そしてそのグチャグチャな流れを受け継いで桂調査委員会が最高裁判決を下したのだ。

 科学コミュニティは、死者が出るほどに問題が拗れたのをマスコミのせいにしようとするがそれは違う。過剰なバッシングについてはマスコミの責任は大きいが、それ以上にそれを誘発した科学者たちの出鱈目さに最大の責任がある。「分子生物学会理事長」大隅典子氏ら権威者達の無責任な言動や、岸輝雄委員長の下での改革委員会という権威の決め付けによって、マスコミや世論に「正義」の大義名分が与えられ、バッシングは苛烈さを増したのだから。そして今、もしかすると問題は取り返しの付かないところまで来ているのかもしれない。

 不正調査の最終報告書である桂報告書に対しては、ネット上で専門外の人達から色んなアラが指摘されているようだが、結局情報不足でネット議論で結論を得ることは難しいようだ。しかしその議論を見ていると、やはりご都合主義的な強引な解釈でSTAP=ES認定されているように見える。もしかしたら桂報告書は科学者の間では「触るな危険!」みたいな状態になっているのではないかという気さえしてくる。あまり深く突っ込むと「日本の科学者の恥」を世界中に晒すことになる、みたいな。
 しかし、もしも桂調査委員会がES認定した根拠について強引な解釈がご都合主義的に行われているのなら、学会の関係者は科学者としての矜持を持って真剣に再検証すべきではないだろうか。学会内から調査結果に対してこういった声は挙がっていないのだろうか。

 故笹井芳樹博士が亡くなってすぐの頃に見たテレビで、故人が「細胞を謙虚に見ていると秘密をチョロチョロっと教えてくれるんです」と楽しそうに話した様子が私は忘れられない。この場合の「謙虚に」とは「一切の先入観なく」というニュアンスだと思うが、これが本物の科学者の姿勢なのだと感じた。私は今でもあの言葉を思い出すたびに、テレビの中で研究に対する純粋な思いを楽しそうに語る姿と、先入観によって決め付けられ追い詰められた笹井氏の無念さが交互に胸に突き刺さり涙が溢れてくる。
 STAP問題について積極的に発言していた研究者達の中で多く見られた、ものごとを先入観を持って決め付ける人たちには、細胞は”絶対に”秘密を教えてはくれないだろう。

 日本の科学者たちは、桂報告を”なんとなく”受け入れてしまっているようにも思えるが、本当にそれで良いのだろうか。STAP騒動の顛末を見ていると、このままでは私は今後日本の生命科学が発展することはないだろうと感じている。いくらNHKが一押しで生命科学の特集番組を作りまくって人々の興味をそそろうとも、その担い手が日本で育つことはないだろう。

 私は、この問題に対しては当時「日本分子生物学会理事長」だった大隅典子氏の責任がもっとも重大だと考えているが、その次に罪深いのは九大の中山敬一教授だと思っている。この人は、STAP問題に対する「決め付け」の先頭を走っていたような人物だ。彼は研究倫理専門家として頻繁にテレビ出演し騒ぎを煽り立てていたが、彼の中では初めっから完全にSTAP問題に対するイメージが出来上がっていたようだ。

 彼は文藝春秋20146月号『小保方捏造を生んだ科学界の病理』という文章を書いていて、小説「リング」に登場する貞子の母「山村志津子」のモデルとなった御船千鶴子の「千里眼事件」を例に挙げている。
http://diamond.jp/articles/-/52870
 ここでは他にもシェーン事件など既知の事件になぞらえて好き勝手なことを書き散らかしているが、彼のイメージでは、小保方氏が貞子の母「山村志津子」で、笹井氏が貞子の父「伊熊平八郎」という設定なのだろう。ならば、「生き別れた息子」たるSTAP細胞は貞子ということになるのか。

 今年の1月下旬に理研OBの石川智久氏から「小保方晴子を刑事告発する!」として提出された告発状が、先月半ばに「被疑者不詳」の窃盗事件として受理された。これは、石川氏の意図した方向とまるで違う方向で捜査されているのだろうと私は見ている。私は、警察の捜査が余計な圧力を受けず進めば、もしかしたら事態は一変する可能性もあると思っている。そしてもしSTAP細胞が実在したとしたら、それは貞子の怨念により
「リングウィルス」となって日本の科学界を壊滅に導くことになるのかもしれない。

NHKのスクープとして320日に流れたニュースについてもう一度考えてみた。かなり妄想が入っているのでその点は断っておきたい。

 STAP細胞の問題で、万能細胞作製の決定的証拠とされた緑色に光り出す細胞について、小保方晴子元研究員が去年11月、STAPと判断するための確認が十分できていなかったという内容の証言を調査委員会にしていたことが分かりました。4月の記者会見の発言とは異なる内容で専門家は、理研は、詳しい証言内容を明らかにすべきだとしています。緑色に光り出す細胞は、体の細胞が、万能細胞に変わったものだとされ小保方元研究員らが去年1月の記者会見でもSTAP細胞が出来た決定的な証拠だと映像などを発表しました。

 これに対して、多くの専門家からは細胞が死んだ時に光る「自家蛍光」という現象でSTAP現象とは関係がないという指摘が出ましたが、小保方元研究員は、4月の記者会見で自家蛍光ではないことを確認していると否定していました。

 ところが、NHKが去年11月に小保方元研究委員が調査委員会に証言した内容を入手したところ「自家蛍光なんじゃないかとかそこまで思ってなかった」と話し、委員から「調べれば簡単に分かりますよね」と尋ねられると「やってなかった」「甘かった」などと答え、STAPと判断するための確認が十分できていなかったという内容の証言をしていました。

 映像は、自殺した笹井芳樹元副センター長がSTAP細胞を信じる根拠だと話していたもので理化学研究所の対応にも影響を与えたと指摘されています。東京大学医科学研究所の上昌広特任教授は「真相解明が遅れるなど重大な影響が出たおそれがある。STAP細胞は否定されたが小保方氏自身がどう説明したのか理研はもっと明らかにする必要がある」と話しています。これについて小保方晴子元研究員の見解を、代理人の弁護士を通じ求めましたが、回答はありませんでした。

このニュースがどういう経緯で流れたのか推理してみる。
STAP問題はリーク報道がやたらと多いのが特徴的だった。その情報源はいくつもあってNHKは情報源をたくさん持っている。私は、STAP問題におけるリークの動機は最低三つあると思っている。巨大な罠があったという陰謀説だともうひとつ増えるが、それはこの際除外する。三つとは、正義感によるもの、私怨によるもの、煙幕的に情報をコントロールしようとするもの。

そして、今回のリークは「正義の有志」でもなく、私怨によるものでもなく、理研本部を守ろうとする勢力による可能性が高いのではないかという気がしている。情報の内容から見て組織の上の方から得たと思われるからだ。


3
20日は野依理事長が記者会見を開き、STAP問題の実質的終結宣言が出される日だった。そのタイミングで流されたニュースだったため、このまま終結することが許せない「理研有志」の義憤によるものかと最初は考えた。そしてNHKの記者も強い正義感で「このまま終わらせてたまるか」という気持ちがあり、この情報に飛びついたのだろうと。しかし、良く考えるとどうも情報の質が下っ端の人間が手に入れるような性質のものではなかった。また、後に藤原記者が書いた記事で情報の中身が判明したが、先日指摘したように特にスクープと言えるほどの重要証言でもなく、隠蔽された事実を暴露すると言った性質の資料ではなかった。証言内容は不正問題とは直接関係がなく、単に小保方氏の未熟さを指摘する意味合いしか持たない中身であった。

ここで、改めて320日のニュースを見てみる。
このニュース原稿の書き方と後の記事を比較すると、もしかしたらこの時点では資料そのものはまだ入手しておらず、「いつもの情報源」からメール程度で「こういう話があるよ」というリークを受けた状態だった可能性もあるように感じる。いつもの信頼できる情報源であれば、紙ベースの資料がなくても報道される可能性もあるのではないか。そして、「いつもの情報源」がこのタイミングでリークした理由は「野依会見」と関係しているのは間違いないだろう。その動機だが、「このままでは終わらせない」という記者の思いとは別の、野依会見のニュースで予想される理研批判を、滅多に表に出てこない小保方証言というインパクトのあるニュースで国民の目を逸らしたい意図があったのではないだろうか。つまり、このリークには理研本部を守りたい意思が働いていたということだ。もしかしたら、今回の情報源は調査関係者自身ではなく、文科省からの出向者などの事務方なのかも知れない。
NHKSTAP報道は個人攻撃の度合いが強く、結果的に理研本部を守る方向に力が働いているのだが、もしかしたらNHKの「取材班」は、文科省と理研本部の情報コントロールに踊らされているのではないだろうか。そんなことを思ったりふとグルなのかとも思ったり。

STAP問題は、理研の最終的な対応から見て小保方氏がES細胞を故意に混入した可能性はほぼなくなり、他の可能性も分からぬまま真相は藪の中となったが、どうしても小保方氏を追い詰めないと気がすまない者が理研内部にいるらしい。野依理事長の記者会見(実質的な終結宣言)のタイミングに合わせて調査委員会での証言をNHKにリークした者がいたのだ。

NHK
の藤原記者も、どうしても小保方氏を追い込みたいらしく、調査員とのやり取りを都合よく利用し「小保方氏が嘘をついた」という印象操作に走った。調査委員会での証言と記者会見での発言が矛盾していると言うのだ。
http://blog.livedoor.jp/obokata_file-stap/archives/1023340333.html
(註:当初リンクしていたNHKのページがリンク切れの為、コピーのあるページに差し替え)

調査委員とのやり取りで、小保方氏はスペクトルによる赤緑判別をしなかったことを「甘かった」としているが、笹井氏が証言した方法による確認を否定しているわけではない。そこに書かれた会話の前後の文脈も分からず、(中略)とされた部分は会話を歪曲して伝えるためにマスキングした疑いもあるが、時系列で見れば若山研でマウスが光りキメラマウスが出来たことで自家蛍光の判別もしなかったことを「甘かった」と言っていて、笹井氏と丹羽氏が参加し論文を仕上げる段階ではFACSによる確認をして「自家蛍光でないことを確認した」ということになるだろう。
ところがNHKの報道では、小保方氏が記者会見で「自家蛍光でないことを確認している」と発言したのがあたかも嘘であったかのような印象操作をして、実際そういう風に受け取ってしまっている人も多い。

NHK報道姿勢は、こういう風に別の事実を巧妙に混ぜて「会見で嘘をついた」印象を与え、単独犯行説を強化させようとしている。同様の手口は、平成26727日放送のNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」でも行われた。番組ではあたかも小保方氏が細胞を盗んだと印象付ける演出をしていたが、その時も別の話を巧妙に混ぜた悪質な手法が使われている。その件に関しては「一研究者・教育者の意見」で検証されていて(検証記事補完記事)、私も別の角度から捏造の可能性について指摘している。NHKSTAP報道における印象操作は、昨年4月の不服申し立て会見の後の「証拠を提示しなかった」連呼の頃から徹底している。こういう悪質な印象操作をしてまで個人を追い込もうとするNHK、いったい何をしようとしているのか。笹井氏ひとりだけではまだ殺したりないのか。
NHKこの問題は、報道のあり方として厳しく追及される必要があるだろう。

 理研の運営・改革モニタリング委員会の議事録にこういう一文がある。

 『小保方氏個人の故意ということで済ますことができれば話は単純だったと思うが、第二次調査委員会の結果それができなかったので、理研の管理体制や組織体制の問題に大きな疑念が残ったままになってしまった。』

 理研にしてみれば小保方氏個人の故意で済ますことができれば何よりのことである。ここから読み取れることは、STAPの調査は最初から最後まで「小保方氏個人の故意」に焦点を当てているということで、これは冤罪事件の典型的パターンだ。


 理研は最初からずっと小保方氏個人の故意ということで終わらせたがっていた。そして、桂調査委員会の最終報告では、STAP細胞とされたものが実際はES細胞であったとほぼ断定され、偶然のコンタミは考えにくく故意により混入された可能性があるが行為者の特定は難しいとされた。もしも、小保方氏がES細胞をSTAP細胞だと偽って共著者達を騙し続けていたのなられっきとした犯罪行為である。
 桂報告書にあるように、誰かが故意にES細胞を混入させ実験計画と異なる不正な実験にしていたのなら、行為者が特定できないだけで『告訴の要件に該当するような疑義がない』とはならず、被疑者不詳での告訴は可能である。影響の大きさからして「偽計業務妨害罪」の告訴は受理されるだろう。理研に立証責任があるわけではないので、故意である「可能性が高い」という専門家の意見があれば問題なく事件として扱われるだろうし、捜査の結果、嫌疑不十分で立件出来なかったとしても理研には何の責任も生じなければ、被疑者不詳での告訴であれば訴訟の危険もない。


 理研が小保方氏の単独犯行の「可能性が高い」と認識しているのであれば、理研には積極的に告訴すべき理由がある。なのにそれをしなかったのだから、小保方氏の故意による混入の「可能性は低い」と判断するのが妥当だろう。そして、真相は藪の中だ。
 結局、告訴検討云々は組織責任から目を逸らすためのブラフでしかなかったのだ。こうして理研は小保方氏側から訴訟を起こされる危険を避けつつ故意の可能性を示唆することで個人の責任を強調し、文部科学大臣に「一定の目途が立った」と言わせることに成功した。

 この1年間の報道を振り返ると、毎日新聞とNHKの報道量が突出していたが、両者の報道の質は異なっていた。NHKの場合は徹底的に個人攻撃を続けていて、結果的に理研本部の思惑通りの流れを作っており、その方向性が他の報道も牽引することによって、新聞等での組織批判が相対的に目立たなくなっていて、それが特定国立研究開発法人化への道筋をつけるのに一役買うこととなった。NHKはジャーナリズムの反対側にいる。

STAP細胞論文に関する懲戒処分についての記者会見の際に、理研は刑事告訴の可能性について検討するとしていたが、告訴は見送られることとなったとの報道があった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150316-OYT1T50081.html

この告訴見送りは事実を推定するにあたってわりと大きな意味を持つ。

もしも理研が、小保方氏が単独でES混入をした可能性が高いと判断していた場合、暴挙としか言えない石川氏の場合と違って理研には告訴するだけの根拠があるし、刑事告訴し事件化した方が詐欺師に騙された被害者の立場を取れるので、理研にとって大きなメリットがある。小保方氏が単独で詐欺行為を働いていた場合、理研が小保方氏を守る理由などどこにもないわけで、被疑者不詳の偽計業務妨害罪で告発して捜査を司法に任せることで、名誉毀損などの訴訟の危険を負うこともなく真相解明に繋げることが出来るし、それが理研の信用回復のために最も効果的な対応と言えるだろう。

もし本当に誰かが故意に混入させた可能性が高いのであれば『告訴の要件に該当するような疑義がない』とはならないわけで、仮に捜査が行われた結果として犯罪性が認められずに立件に至らなくても理研には何の責任も生じない。理研は被害を報告すれば良い事なので、そこに犯罪性があるかないかは理研が立証すべきことではない。
なのに告訴をしなかったということは、理研本部も小保方氏はやっていないと認識している可能性が高く、それは即ち石川氏が刑事告発した窃盗事件も存在しないということだし、そうなると告発者側に何らかの嘘がある可能性も出て来る。あるいは、不正調査にあたって関係者がなんらかの不法行為を働いていて、それを表沙汰に出来ないという可能性もあるかも知れない。
いずれにせよ、小保方氏が故意にES混入をした事実はなかったと言って良いだろう。

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